総評
レイアウトコンテスト2006へ多数のご応募をいただき、まことにありがとうございました。厳正な審査の結果、櫻隼氏の作品「現代ローカル風景」をレイアウトコンテスト2006大賞に選びました。
今回のご応募作品は、都市風景あり、山岳風景あり、小さなスペースにまとめあげた作品ありと多彩なレイアウトがあつまりました。そうした作品のなか、櫻隼氏の作品は、細部まで作り込んだシーンが連続する非常に密度の濃いレイアウトです。随所に見られる情景の演出は、欧米に比べると遅れていると言われる日本のレイアウト制作において、一つの進化の方向性をみることができると思います。今後レイアウトを制作する際に、地形と線形の取り方、道路との組み合わせ方など、説得力のあるシーンを作る参考になります。
今回、大賞候補として最後まで櫻隼氏の作品と競ったのが、VRM4部門の啓明氏作品「夏の日の幻想」です。数々の実在シーンを1つのレイアウトにまとめあげた手腕が高く評価されました。特に、現時点では、VRM4の第4号相当までしか部品がない状態で創意工夫により、シーンに必要な部品をつくりだして補った技法は、注目に値します。
VRM3部門賞には、沖ノ鳥島氏の「国鉄伊那線」を選びました。レイアウト制作の題材として人気の飯田線をベースに制作されたレイアウトで、作者の安定した力量により複雑な線形を破綻なくまとめあげています。
今回から新設したスクリーンショット部門には、むらP氏の「高架化工事」が選ばれました。現代の大都市近郊でみられる路線の高架化を題材にした作品です。1枚の写真のなかで進行中の高架化工事と、その将来像を想像させるという2つの時間軸という演出が高く評価されました。
今回、ご応募いただいた作品には、入賞作品以外にも注目すべき作品が多数ありました。啓明氏作品「マイクロ新大阪」は、ビネットと呼ばれる表現手法で、新大阪の1シーンを切り取った形のレイアウトです。ビネットは、目的を明確にして小さなスペースに作り込むため、気軽に作りはじめることができ、練習にも適しています。啓明氏の作品のように実際の駅を観察して、そのエッセンスを形にするといいでしょう。
花形見鶴太郎氏の作品「Half & Half」は、モジュール式レイアウトと呼ばれる技法です。ビネットのような小さなモジュールをつなぎ合わせて1つの大きな作品にします。モジュールは、それぞれにビネットのようにテーマを決めたシーンを作り込んでいきます。
十衛門氏の作品「電車区のある街」は、1800mm*900mmという日本の伝統的なサイズに制作されたレイアウトです。この作品は、標準的なレールプランにストラクチャーを配置しているため、実際に模型を制作可能と思われます。
おいちゃん氏の作品「究極リバースNO1H18」は、日本のレイアウトではあまりみられない海外レイアウトで多く見られる線形が注目に値します。
レイアウトプランの手法ひとつにもこのような多様性みられたのが、今回の特徴でした。この他にも、多数のすばらしい作品があります。ぜひ、各作品をダウンロードしてお楽しみください。
作品のダウンロードについて
- 各作品のダウンロードボタンより、作品をダウンロードできます。それぞれの作品は、LZH形式で圧縮、アーカイブされています。ダウンロードしたファイルの展開にはLZH形式を解凍できるツールをご利用ください。(Lhasaが著名です。)
- 各作品の著作権は、作者に帰属しています。
- 各作品に必要なパッケージの種類、操作上の特記事項などについては各作品付属のテキストファイルをご覧ください。また、作品によっては、部品密度が高いため画面表示に時間がかかる場合があります。レイアウターの環境設定でレンダリング範囲をせばめてください。
立体的な鉄道風景と生活感のある街並みの作り込みが素晴らしいです。微妙な勾配が付いた道路など、鉄道以外の部分まで、しっかりと作成されている点も秀逸で、高低差のある山岳地帯に点在する町々を結ぶ鉄道風景を高く評価しました。
※データサイズが大きいため読み込みに時間がかかります。
数々の実在風景を、1つのレイアウト上に点在させた構成力が素晴らしいです。山稜の造形や地面テクスチャーのブレンディング機能の活用による、自然物の再現も秀逸で、広大な風景を感じさせる表現力を高く評価しました。
次々と変わる国鉄ローカル線の車窓風景・・・。変化に富むシーンが連続する名路線、「飯田線」をモチーフにした作品です。複雑な地形を丁寧なつくりこみでまとめあげた手腕を高く評価しました。
電柱の支持ワイヤーなど、細かい部分まで手が加えられた情景が素晴らしいです。それと、高架化が完了していない工事途中の風景を題材にされた点も興味深くて、これから、このシーンはどのように発展していくのか楽しみにさせられる作品でした。
※VRM3ワンパッケージ部門は応募作品がありませんでした。